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2016年度【卒業制作展訪問】JIDA中部ブロックデザイン賞のご紹介

公益社団法人日本インダストリアルデザイナー協会
中部ブロック・次世代事業委員会
委員長 吉田修作

◆2016年度【卒業制作展訪問】JIDA中部ブロックデザイン賞のご紹介◆

中部ブロック・次世代事業委員会では、2016年度もデザイン系大学卒業制作訪問(卒展訪問)を開催し、各学校毎に優秀な作品を2点選定し表彰しました。また、セントラル画材殿のご厚意により特別賞(セントラル画材賞)を設けました。
2016年度のJIDA中部ブロックデザイン賞は以下の方々です。

2016年度JIDA中部ブロックデザイン賞

■名古屋工業大学

 2017年3月5日(日) 会場:名古屋工業大学4号館1階ホワイエ

最優秀賞:中島啓太「安心して任せられる椅子」


評価コメント:
現状の介護椅子デザインに抵抗があることを卒業研究にて確認し、その成果を非常に緻密なディテールの試行錯誤を繰り返し、論理的な解決を導き出した。どこに手をつき、どのような高さの肘置ききが、立ち上がり易いか等々の介護という特殊な条件化で、しっかりとした人間工学的なアプローチを踏まえた点を評価した。 (文責:江藤太郎)


優秀賞:鈴木慶太「デジタルによって魅力が向上するボードゲーム」


評価コメント:
工業大学に相応しい工学的な基礎知識からの優れたデザインである。 オセロゲームに似た単純明快なゲームでありながら、非常にワクワク感がある。 ゲームデザインの本質がそこにある。マス目を押すとマス目浮き上がり色が変わる、 平面的な動きと垂直方向への立体的な動きは注目に値する点を評価した。 (LED色による視覚効果とサーボモーターによる立体的な動き) (文責:江藤太郎)


セントラル画材賞:得津秀馬「水田・憧憬の培養器」


評価コメント:
日本の農業に対する問題点を明確に捉え、その解決策が独創的である。 水田の憧憬を文化として捉えそれを守ってゆくための情熱を感ずるデザイン 提案であった。稲の害虫を鯉が駆除する考え方を、テーマパーク的な発想を 加味し、1年を通してイベントを企画し田園を観光ビジネスとして、捉えた 視点を評価した。 (文責:江藤太郎)

 


 

■愛知県立芸術大学

 2017年3月5日(日) 会場:愛知県美術館ギャラリー

最優秀賞:中川敬介「子供向け釣り具の提案」


評価コメント:
対象年齢を小学校5年生としユーザー心理を的確に捉えている。モノの追求としてはリールに、スピニングリールとベイトリールの変換機能を取り入れ、巻き取り時の問題点を解決している。また、釣った魚のデータをバーチャルで保存する機能も評価された。モデル完成度も高く、審査員の意見が一致し最優秀賞となった。(文責:滝本成人)


優秀賞:中山泰徳「生活に調和する減災家具」


評価コメント:
2年前の学部卒業展の同様のテーマからの進化が評価された。現状の耐震ベッドの問題点を精査し、減災家具の導入時期の設定や、震災後の生活シミュレーションがよく考えられている。家具デザインとしても完成度も高く、居住スペースに置かれても違和感のないデザインにまとまっている。(文責:滝本成人)


セントラル画材賞:影山友章「利便性追求の問題点と余白をデザインする必要性の研究」


評価コメント:
現代デザインが追求してきた「便利・快適・効率的」の、利便性追求の弊害を分析し、未来予想図1~4が示された。これらの問題点の解決手段とし「デザインの余白」が定義され、「行動・時間・情報」の実例が示された。今回の発表では、例えば「余白率」などの定量的な内容がなかったため、著者の今後のデザイン活動への適用・応用を大いに期待したい。(文責:滝本成人)

 


 

■愛知産業大学

 2017年3月4日(土) 会場:愛知県美術館ギャラリー

最優秀賞:山口力也「MUGYUU/KURUKURU:リサイクルフェルトを利用した家具の提案」


評価コメント:
本来、端材として捨てられてしまうフェルトという素材を魅力的な3次元形状に表現し、さらに椅子という機能に昇華させたとても優れた作品。造形的にユーモラスさが有り印象的でデザインのポイントも心得ており且つ構造的に素材持つ強靭な強さを活かされている。座って寄りかかる体重で包み込まれ見た目には窮屈に見えてしまうがなんとも座った人間には妙に安心感を与える。また廃材を活かしたと言う点もよく3拍子揃った実に優れたデザイン提案である。ここまで完成された提案に大きな衝撃を受けた。難を言えばこの椅子は立ち上がりにくい。それぞれの人に立ち上がり方の工夫を求める。(文責:須藤正時)


優秀賞:度会咲奈「Connection Stool」


評価コメント:
とても大きなレゴパーツを立てに積み上げそれを一つのユニットにしそのユニットを複数組み合わせ、あるいは単独で使用するスツールの作品。 数理造形的要素が有り組み合わせ方で色々な表情をみせ、見ていてついつい組み合わせを考えてみたくなる作品。様々に変化する表情が色と相まってとても奇麗である。作品は板材で作られていたが角の処理や挟まれた時の事を考えると例えば高密度ウレタンなど他の素材を検討する余地がある。デザイナ–はモノの形を考えるとともに素材についてもっと深く学び最適なモノを採用する必要がある。(文責:須藤正時)

 


 

■大同大学
 2017年2月26日(日) 会場:ナディアパーク・2Fイベントスペース

最優秀賞:山中嘉太朗「有松絞りと先端技術」

 


評価コメント:
伝統工芸の製作プロセスを学びなから、その道具に着目し、独自のアイデアを盛り込みながら生産性を上げる研究はとても興味深い。道具へのこだわりが強い伝統産業も、次世代のアイデアと情熱は受け入れられやすいのかもしれない。製作行程の効率アップだけでなく、この手法を用いたオリジナルな絵柄を模索しながら表現を活性化することで、伝統技法を守りながらも産業全体の底上げにつながることを期待したい。(文責・後藤規文)


優秀賞:佐野美沙子「単身者の生活に合わせた除湿機と物干しの開発」


評価コメント:
洗濯物をお洒落な風景に変えたいという発想がとても新鮮で面白い。機能面の掘り下げはまだ未熟さを感じるが、造形のテーマ設定からモデルの作り込み、そのまとめ方はセンスが良く、好感が持てる女性らしい提案である。(文責・後藤規文)


セントラル画材賞:西尾修朔「シニア向けショッピングカートの研究」


評価コメント:
協力企業とのレベルの高い連携が大同大学らしい。既存する新しい機能の応用例を模索し、掘り下げながら実際に稼働するプロトタイプを作り上げる姿勢や技能の高さ、またそれらを実現するためのスケジュール管理の上手さを評価したい(文責・後藤規文)

 


 

■名古屋デザイナー学院

 2017年2月26日(日) 会場:名古屋デザイナー学院

最優秀賞:ギヨ・アントニー「Cook Nature(野外用調理器具)」


評価コメント:
コンパクトな野外用調理器具コンセプトは、一見日本の弁当文化と欧米のBBQ文化の折衷の様に見えるが、ターゲットをカップルに絞ったことでサイズ感の妥当性を魅力的に表現した。スタッキングや通風口など細部の形状にも説得力がある。何より美しく、改めて日本の美意識を再認識させられる魅力的な作品。(文責:金澤秀晃)


優秀賞:北川竜司「Re Build(デザイナーを志す人を支援する創造ツール)」


評価コメント:
感覚的な創造を仕事とするデザイナーには、バランス感覚やアイデア発想に繋がる訓練や論理的に物事を組み立てるトレーニングが欠かせない。2Dと3Dの両面からそれらを支援する道具を作るという発想が面白い。新しい雲形定規や立体パズルにも見えるこの作品は、形状自体が美しく所有欲を掻き立てられる。(文責:金澤秀晃)


セントラル画材賞:楊 思慧「国色天香(口紅)」


評価コメント:
一見、口紅には見えない意外性を持つ作品だが、単に奇をてらう派手なビジュアルでは無く、気分によって選べる微妙な色差をセットで持てる合理性や経済性、簡単な作業性、何より世界観を大切にした豪華な表現が美しい。唇を彩る行為が変化し、仕草や所作の美しさをも導き出せるデザインの力を感じさせる。(文責:金澤秀晃)

 


 

■名古屋芸術大学

 2017年2月25日(土) 会場:愛知県美術館ギャラリー

最優秀賞:権田明子「ゆらりんころりん」


評価コメント:
家具的な要素で体幹トレーニングができ、達成できる喜びを実感できるコミュニケーションツールは表面も裏面も使える。会場での実演では高い説得力があり、その着眼点と検証を重ねてモデルを完成させた姿勢が高く評価された。(文責:木村 光)


優秀賞:赤堀公美「ひより」


評価コメント:
どこでも茶会をテーマに、二人用で小さなお茶のセットの提案。包んでコンパクトになるようスタッキングも考慮されており、デザインは細部まで検討され、美しさが全面に表れていた。細やかな人柄まで作品に表現された秀作である。(文責:木村 光)


セントラル画材賞:中島彩花「rescute」


評価コメント:
一人暮しの人の防災セットは、普段はコンパクトにインテリアとして目の届くところに置いておける。お洒落なだけでなく、使う人に合わせてリュック、キャリーと使い分けることができる。この提案からは多方面への展開が考えられ、その提案性の良さが共感を得た。(文責:木村 光)


セントラル画材賞:日比野貴洋「joint-じょいんと-」


評価コメント:
手押し車、キックボード、三輪車と、幼児の発達に応じた木材遊具の組み立てキットの提案。指挟みなどの安全性を考慮し、組み立て工具を含むトータルな提案は、楽しさの他に幼児とのふれあいが配慮されていた。商品化を意識した完成度の高さである。(文責:木村 光)

 


 

■名古屋造形大学

 2017年2月18日(土) 会場:愛知県美術館ギャラリー

最優秀賞:堀田 蒼「DESSIN(モノクロームデジタルカメラ)」


評価コメント:
カメラ本体を手に持って行なう一連動作をスムーズにできるよう手と本体との関係性をしっかり考えられている。その結果が特長的な形になっている点など、製品デザインを学ばれた成果が表れており、本賞に相応しい優秀な作品である。(文責:伊奈史朗)


優秀賞:武藤ほなみ「shiawase na HIBI(カタログギフト)」


評価コメント:
従来ギフトカタログに見られる商品一覧方法を見直し、一商品に絞り色柄を選ぶ楽しさや使うコトを二度目楽しめるなど、購入から使用するところまでの“楽しめるプロセス”を入念に考えられた商品デザインの提案は本賞に相応しい優秀な作品である。(文責:伊奈史朗)


セントラル画材賞:山口祥吾「浄水発生土の用途開発提案 (植木鉢・エクステリアブロック・敷タイル)」


評価コメント:
環境問題を調査・実験・分析から製品提案に至るまで実践され産業デザインのプロセスを踏まれた成果が表れおり本賞に相応しい作品である。(文責:伊奈史朗)

 


 

■名古屋学芸大学

 2017年1月14日(土) 会場:愛知県美術館ギャラリー
最優秀賞:杉田真由「ADDIGRAPH」


評価コメント:
中高生に向けた、勉強が捗るステーショナリーシリーズの提案。製作したプロトタイプを高校生に提供し、感想をフィードバックして検証を重ねたことにより、説得力が増している。中でも、「ポケットサイズ、縦にもめくれるノート」はノートの見直しをする際の回遊性が非常に高く、学習効率の向上を強く期待させる素晴らしい提案であると感じた。(文責:奥山泰助)


優秀賞:鈴木領馬「story of the CHAIR」


評価コメント:
story of the CHAIR、椅子の物語。プレゼン冒頭の歌唱から、彼の語る物語に引き込まれた。製作物のクオリティの高さもさることながら、ストーリーの一貫性と明快さは観るもの、聴くものに心地よさを与えたのではないだろうか。「伝える力」の高さに感銘を受けた。(文責:奥山泰助)

 


 

※椙山女学園大学と名古屋市立大学の卒業制作展訪問は、都合により本年度は開催しませんでした



主催:(公社)日本インダストリアルデザイナー協会・中部ブロック
協力:セントラル画材株式会社

 

 

更新日:2023.03.17 (金) 15:12 - (JST)]
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