JIDA Chubu Bloc  
2010JIDA全国会議中エリア報告
開催日:2010年11月6日(土) 開催、会場:愛知県立芸術大学・奏楽堂

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 真夏の暑い休日、中部ブロック長・副ブロック長が須藤理事の下に集まり、協議の上で本会議を開催することを決定した。基本はデザインの使命・職能・国際化という全体テーマに添いながら、中部独自の視点とアプローチを加えて会議の効果を高めることを目指した。また、与えられた短い準備期間の中でできることを模索しながら、常に念頭に置いていたのは、この会議をお気楽な文化イベント(原,2003)や、閉じられた業界内のガス抜きに終わらせないということだった。そのため、参加者を会員にとどめず、将来へのビジョンや問題意識の継承を期待し、デザイン勉強中の学生にも魅力ある会議構成を目指した。それとともに会議の結果を閉じ込めたまま終わらせることなく、外部へのアピールや将来への指針として生かせるように、会議に関する情報のオープン化をめざし、情報委員会からのIT技術活用の提案も積極的に取り込んでいくこととした。

 具体的な構成は、外部からの示唆を期待し若山滋氏(名古屋工業大学名誉教授)に基調講演を依頼し、会議はエキスパートとノービスという2セッションとし、テーマを「明日のカタチ・アタシのかたち」とした。セッション1は「明日のカタチ」をキーワードに、デザインのプロフェッショナル達により、拡大化していくデザイン概念の現状を認識した上で、これからのデザインの定義・使命・職能を討議するプロセスから未来への展望を探った。明日のデザイナーのあるべき「カタチ」を追求しようとするものである。黒川威人コーディネータ(金城短期大学)とJIDA会員の浅香崇氏(デザインスタジオ・トライフォーム)佐藤弘喜氏(千葉工業大学)松本有氏(フォルム)に加え、中部で活躍する鶴田浩氏(リアルスタイル)、本田敬氏(Design Studio CRAC)をパネラーとした。セッション2「アタシのかたち」は現在様々な分野で実際のデザインワークに従事している若手のデザイナー達を集め、その経歴や職種のバリエーションや現場の悩みを本音で語ってもらう設定とし、学生達に仕事の「かたち」の拡がりを具体的に示すことを目指した。和田功コーディネータ(ワダデザイン)と、パネラーは経験や年令に幅をもたせるため、JIDA会員の大浦一成氏(ヒルギデザイン)福田一郎氏(エイアンドエフ)、中部の企業で働く原田雄一氏(スズキ)岡本桃子氏(トヨタ自動車)佐分利亜都子氏(愛知)にお願いした。

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■愛知県立芸術大学奏楽堂
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■U-stream現場中継
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 それらを展開する会場にもこだわった。愛知県立芸術大学の奏楽堂を主会場として選んだのは、世界デザイン会議1989のきっかけとなった「JIDAデザイン会議85中部」会場という歴史的な意味合いと、参加者の視覚的印象を残すという目的を含んでいた。交わされた言葉は各人の中で消化され、新しい思考の源泉となって記憶から消えていくが、その視覚環境をきっかけにして後で思い出すという意味でそれは重要である。愛知芸大には共催として積極的に参加・協力していただき会議開催の意義を深めた。

 ほぼ毎週に渡った打ち合わせ・準備を経て、11月6日(土)に無事開催にこぎつけ、会員・一般・学生含め全部で120名の参加者が寒い季節と会場に関わらず熱心に会議に聞き入った。しかし会議はその前から始まっていた。JIDAのSNS内に中エリア会議のコミュニティが設けられ、黒川&和田コーディネータのリードで事前にパネラー達との情報交流が実施されていたのだ。その内容は会員達に公開され、既に様々な議論が盛り上がっていた。そのため会議自体も限られた時間内でスムーズかつ効率的に進行できたのではないだろうか。それに加え、U-streamを使った現場中継が後藤情報委員により実施され、会議後も有効に視聴活用できた。また、当日のテキストデータは録音の上、会議の1週間後には中部ブロックの安倍・関本幹事の尽力により文字起こしがされた。このテキストデータは全国大会報告資料に提供する等の手段により後日公開する予定である。これらの映像記録、テキストデータに加え、短期間に編集・印刷され、当日配布された10ページのパネラー紹介資料を参照することにより、中エリア会議の全貌は後世まで正確に伝承できる筈である。

 詳しい内容はそれらに譲るが、若山氏が示唆した機能的でミニマルなインターナショナルスタイルの次に来るテーマは何か?という問いかけが印象に残った。我々はその問いに答えられるだろうか?本会議のテーマも含め、JIDAの問題意識は外部と乖離していないだろうかと考えされられた。またセッション1で語られた、パネラー達全員に共通する世界を気軽に飛び越えてしまうモビリティ能力は、国際化というテーマを無意味にしてしまったといえる。セッション2では若いパネラーが普段の考えを真摯かつ正直に語ってくれ、学生達だけではなく、先輩デザイナーにも大きな感動を与えたようだ。


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 ほぼ1日間にわたって、じっと会議の内容に聞き入り、情報のインプットに専念していた学生達のエネルギーは、会議後の懇親会で爆発した!  乾杯に先立ち中部ブロック次世代委員会の恒例事業である「ポートフォリオデビュー」が行われ、浅香理事長を始めとするJIDA会員のパネラー達による優秀ポートフォリオの選定と表彰が行われたのである。学生全員が興奮し、入賞者は本当に嬉しそうだった。これは学生全員にとって今後の大きな刺激になったはずである。会議中に表彰を行った卒業制作最優秀賞選定システムと共に、今後も続けて行きたい中部ブロックの有意義な事業に育ったことを確信した。

 

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